*原語がうまく表せないのでローマ字表記になっています。ご了承ください。
T 歴史と伝統
リコーダーは周知の通り、学校用教育楽器として重要な役割を持っていますが、その歴史は大変古く、ヨーロッパでは古代からギリシャ・ローマ時代にかけて横笛よりも栄えていたことが知られています。中世の終わりにはすでに完成された形を取っており、16世紀には大小様々な管を備えたリコーダー属をなして、合奏や世俗的な声楽曲の伴奏として広く使われるようになりました。そしてこの時代から、リコーダーのための理論書や教則本も出版されるようになりました。又、17世紀中頃にはオペラやオラトリオの中でも使用され、次第に独奏楽器として脚光をあびはじめました。特にアルト(トレブル)リコーダーには高度な技巧と表現力を要する、きわめて芸術的なソナタやコンチェルトなどが書かれました。しかしリコーダーは音量の小さい点、音域のせまい点などから次第に後退していき、それに代わり横笛(フラウト・トラベルソ)が認識され始め、リコーダーは18世紀後半から19世紀末までほとんど忘れ去られていました。20世紀に入り、古楽に対する興味と学問的研究によるリコーダーの復興運動が起こり、復元されたそれらの楽器を使った古楽器演奏がされるようになり、再び大きく取り上げられ、現代の作曲家の手によっても多くの作品が生み出されるようになりました。
今日までリコーダーという楽器は誤解され偏見を受けてきました。将来、より高度な楽器へ進む踏み台としての「導入用楽器」として認識を撤回し、その長い歴史と伝統、そして多くの大作曲家達に与えてきたこの楽器の力と価値に対してもっと理解があって欲しいと思います。リコーダーのために書かれた作品の多くは、他の独奏楽器と全く同様な水準で、高い芸術性と技術を要求しているのです。
U 楽器と概念
リコーダー本来の姿は木製であり、時には象牙製のものも見られます。その他の笛類、オーボエ、クラリネットなどと同様に木管楽器です。ただ違うところはリコーダーがいわゆる管弦楽の編成に加えられていない楽器であるということです。パーセル、バッハ、ヘンデル、テレマンといった大作曲家達の管弦楽作品には、リコーダーを編成に加えた作品がありますが、その後、管弦楽が急速に発展したハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの時代には見捨てられたものになり、近代管弦楽作品にはついに姿を見せなくなってしまいました。
表に7つの指穴と裏に1つの親指穴を持つ、全8穴の木管楽器。木栓付きフルート。
リコーダーとは「to record記録する」、という意味の他に「鳥のように歌う」という意味があります。
英:リコーダー(Recorder) 仏:フリュート ア ベック(Flute a bec)
独:ブロックフレーテ(Blockflote) 伊:フラウト ドルチェ(Flauto dolce)
リコーダーの歴史の中で、ある時期この楽器を単にフルート(flute)あるいはフリュート(flute)、フレーテ(flote)、フラウト(flauto)と呼ばれていたことがあります。しかし、この時期には横笛の方はトラヴェルセール(traversiere)、フラウト・トラヴェルソ(flauto
traverso)、ジャーマン・フルート(German flute)、クヴェアフレーテ(Querflote)、フリュート・ダルマンド(flute d'Allmande)などと呼んではっきり前者と区別していました。
*ルネサンス期のリコーダー
内径がほぼ真っ直ぐで、外観としては継ぎ目がありません。また左利き右利き両用に使えるよう、第7穴が二つ開いています。使用しない方の穴は蝋で埋めて使用されていました。音域は1オクターブ半と狭いが、響きが大変美しく、アンサンブルではその効果を発揮していました。ただし高音は出しにくい楽器です。現在、ルネサンスリコーダーは市販されていますが、この時代のヒストリカルな形のものはほとんどありません。
*バロック期のリコーダー
リコーダーは音域を広げ、微妙なニュアンスを求めて伴奏楽器から独奏楽器へと発展していき、その結果誕生したのがバロックリコーダーです。吹き口と内径が改良され倍音が豊かになり、音域も2オクターブ半まで広がりました。またウィンドウェイが長くなり、よりしなやかな表現ができるようになっています。外観では全体が3つのジョイント(頭部管、中部管、足部管)に分かれていて、各部を結合するジョイント部で楽器の長さを微妙に調節する事ができるようになり、伴奏、合奏の際にピッチを正確に合わせることができるようになりました。また足部管を回せるために左利き奏者のために今まで2つ開けていた第7穴もひとつになりました。当時のバロックリコーダーの第6穴、第7穴はほとんどの楽器がシングルホールでした。現在はバロック時代以降の作品も演奏されるため、第6穴、第7穴はダブルホールが不可欠となっています。
今日、学校用教育楽器として使用されているのはこのタイプです。
管と記譜法
今日、主として4つの異なるサイズの楽器が使用されています。ソプラノ(最低音c)、アルト(f)、テナー(c)、バス(f)。その他にもソプラニーノ(f)グレートバス(c)などがあります。
C管とF管がリコーダー属の構成上の基本となっていますが、バロック時代にはそれ以外の管を持ったものも存在していました。D管のリコーダーは6度フルート(sixth
flute)と言われ、アルトリコーダーよりも6度高く、それより1オクターブ低いのがヴォイスフルート(voice flute)と呼ばれます。その他にもB♭管、G管のリコーダーも存在しました。
アルトとテナーは実音楽器として記譜されますが、ソプラニーノ、ソプラノ、バス、グレートバスの楽譜は実音よりも通常は1オクターブ低く記譜されます。
V 運指法の違い(ドイツ式とイギリス式)
ドイツ式(ジャーマン式)リコーダーは、ハ長調の音階を容易にしようとドイツで考案されたリコーダーで、戦後わが国に導入されました。この当時日本では歴史的に正しいイギリス式(バロック式)リコーダーはまだ知られていませんでした。18世紀のリコーダーは、クロスフィンガリング(指穴を半分あける運指)を用いることによって、軽い息の圧力でやさしい音色を奏でられ、そして完全な半音階を演奏する事ができました。ドイツ式はシャープ系での転調を阻み、音楽の選択の幅を狭めました。設計上の変化は、他の音や替え指に影響を及ぼし、リコーダーの表現力豊かな特質を制限してしまいました。
現在でも多くの小学校ではこのドイツ式リコーダーが採用されていますが、リコーダーを本来のリコーダーとして歴史的にも音楽的にも理解を深め、よりよい音楽表現を可能にするには、いわゆる簡易楽器の一つとして考えや、ごく簡単な初歩的な音楽学習のための楽器としての認識は捨てていただきたいと思います。仮にドイツ式リコーダーから始めても、中学でアルトに持ち替えた場合や、ソプラノでも上達すれば、いずれイギリス式(バロック式)に転向することになります。イギリス式(バロック式)での効果的な指導は、ドイツ式での指導とある程度違った方法をとらなければなりません。最も大切なことは、どうしてリコーダーが音楽教育の楽器として存在しているのか、その歴史的な背景などに対しての知的理解を持つことが必要だと思います。。
W 演奏法
1 スタイル
@現在のリコーダーでは、他の管楽器と同様に左手を上にして構えます
A穴は全て指の指紋のある部分で押さえる(指に不要な力が入らないように注意する)
B足部管の角度を自分の指に合わせる(手首に不要な力が入らないように注意する)
Cリコーダーを下唇の上に置き、上唇をかぶせ息が漏れない程度に唇を緊張させる
D肩や首の力を抜き、腕やひじは極端に体から離したり、つけたりせずに自然に保つ
Eリコーダーと体の角度は45度前後(?)に保つ
*椅子に座って演奏する場合も、立って演奏する場合も、不要な力が入らないように注意しましょう。
2 タンギング
○タンギングは音を作るために、又フレーズの最初の音に明瞭な出だしを与えるために必要不可欠な技術です。t、d、l、r、k、gなどの子音の発音が必要になります。
○タンギングは「舌つき」と訳すことがありますが、具体的には舌を突くのではなく、舌を引いたときに音が出ます。
○tが最も強いタンギングで、舌の先端を使います。gは最も弱いタンギングで舌の中間部を使います。
演奏するフレーズによって色んな子音を使い分けることが大切です。
○連続した速いパッセージを演奏するときは、同じ子音を連続して繰り返すことは疲れやすく、又均一に持続させることが困難なためダブルタンギングを使用します。
(tktk…、dgdg…、trtr…、drdr…など)
*トリプルタンギング(tkt-tkt…、ttk-ttk)
*フラッタータンギング(trrrrrr…舌先をころがす)
3 サウンド
@音のスタート
リコーダーでは必ず音の始めにタンギングをします。舌を上歯茎の歯に最も近いところに舌を付け、声を出さずに軽くt−と発音し、次の音を準備するために舌を戻す。
Aロングトーン
リコーダーは原則的にヴィヴラートを必要とする楽器ではありません。しかも吹く圧力が弱いのでまっすぐな伸びのある音を出すのは難しいです。強く吹きすぎると音は割れ、弱く吹きすぎると生気を失います。まっすぐな音を出すことが大切です。又、息が完全に無くなるまで音を出してはいけません。
息圧が下がると、音程も下がります。
(*吹き込む息が歯にぶつからないよう、ウィンドウェイの縦幅よりも歯を多めに開く)
B呼吸
オーボエ、クラリネット、フルートなど、たいていの木管楽器は息圧力がリードや奏者の唇によって抵抗を受け息の流れを受けとめてくれますが、リコーダーの場合は強制的に送りこむようなものではなく、肺からでた呼気は完全にコントロールされたものでなければなりません。
肺に空気を入れるには2つの方法があります。横隔膜を下げて腹に入れるか、肋骨を広げて胸に入れるかのどちらかです。おもに速いパッセージなどで瞬時に吸気を行う場合は、横隔膜を伴う腹式呼吸を用い、長いフレーズを一息で演奏したりする場合は、肋骨を伴う側面呼吸を用います。それらを併用することが望ましいと思われます。
4 サミング
左手親指はリコーダーを演奏する上で最も重要な指です。全開のときは指を高く上げすぎず、半開のときは、なるべく先端に近いところで穴をふさぐ習慣をつけておかなければなりません。第一関節を曲げてサミングする方法が一番いいと思われます。実際には半分もあけません。音が高くなるに連れて息の圧力も強くなりますが、タンギングを強くしすぎないようにしてください。又タンギング後、圧力の強めの息が吹きこまれるようにします。
*指番号について(私が担当している講義や講座では、全てのフィンガリングは数字で表示、説明します)
左手親指(サムホール)を0とし、人差し指を1、中指を2、薬指を3。
右手人差し指を4、中指を5、薬指を6、小指を7とする。
アルトリコーダーにおいて全てのホールを押さえた最低音Fの音を01234567と示します。
つづくかもしれません
![]() |
|
|